「あやとり」
原田マスミ(洋画)
関淳子(染色)
国歳紘子(彫金)
熊沢理(陶芸)
異色のコラボレーション 炎展
須崎俊雄
街路樹並木の葉っぱも少なくなった。裸木に近いものもある。師走に入り、そぞろ木枯らしが身にしみる。そんな寒風を吹き払うように、鳥取市内で異色のコラボレーション展が熱くきらめいている。
平成元年に第一回展をひらき、ことし第十回を迎えた炎展である。展示している染色・彫金・陶芸・洋画のそれぞれの作品が、渋く激しく、また朗らかな魅力を発光している。四人の作家たちの息づかいを、鮮やかに放っている。四つのジャンルの、その重なり合う美しさが、たまらない。
染色の関淳子さん。ステンシル(孔版)とプリンティング(印刷)で遊んでみたという。九十五センチ×八十五センチの作品が六点。染色による抽象表現は珍しい。想像力をかきたて頭のなかのカンバスに絵を描いたということか。
ほとんど構成に意を用いないのかのごとく自由に制作する。燃えたぎり、沸きあがるものを表現する。そのためにエジプト文字を造形化する。葉っぱの葉脈を生かす。鳥を引きこむ。渦を巻く。色彩が踊る。これらを有無をいわさぬ作品に仕上げてしまう力量。これは演技的といっていいかもしれない。
彫金の国歳紘子さん。指輪やリング、ブレスレットなどの銀の装身具二十点を出品した。流行にかかわりない基本的な作品をめざす。だから今回のテーマは「私の定番」。銀は自己主張しないし、何でも受け入れる余裕を持っている。金やプラチナにない特性だ。光沢をおさえたやさしい色合いは、どんなデザインでも引き立てる。まさに〈いぶし銀〉。
こんなアクセサリーを身に付けることで生活に新しい個性が表現できるようになれば、と意欲的だ。じっくり見てほしい。
陶芸の熊沢理さん。直径四十センチの大皿が目を引く。土をつくる力のあるうちに、と大皿に挑んだそうな。土を押し、土をこね、土をもむ。このような力仕事が十分でないと、納得できる作品は望めない。
地元、津ノ井の土に津ノ井の釉(くすり)をかける。つぼや碗(わん)や小皿などいずれも重厚で素朴。津ノ井の大気もかくやと思わせるずっしりとした存在感が楽しめる。
砂丘焼も並ぶ。小ぶりながら砂の質感をみごとに表している。郷土愛が、どの作品にもひびき合い、いい表情をしていると見た。
洋画の原田マスミさん。明るい未来を信じる少女のひとみがみずみずしい。「樹を聴く物語」「空へ」(いずれもF80号)など、純真な少女の振る舞いが大胆な構成のなかにはずんでいる。未来を夢見ながら、だ。
あやとり遊びの絵が二つある。一つはデフォルメされている。絵の多様さを説明するため小学校の出前講座で披露したものとか。子どもたちはほおを紅潮させていたという。
炎展は多彩な物語を秘められている。あなたもこの物語に参加してみませんか。
(文芸誌「断層」同人)
日本海新聞掲載記事(平成17年12月3日)
異色のコラボレーション 炎展
須崎俊雄
街路樹並木の葉っぱも少なくなった。裸木に近いものもある。師走に入り、そぞろ木枯らしが身にしみる。そんな寒風を吹き払うように、鳥取市内で異色のコラボレーション展が熱くきらめいている。
平成元年に第一回展をひらき、ことし第十回を迎えた炎展である。展示している染色・彫金・陶芸・洋画のそれぞれの作品が、渋く激しく、また朗らかな魅力を発光している。四人の作家たちの息づかいを、鮮やかに放っている。四つのジャンルの、その重なり合う美しさが、たまらない。
染色の関淳子さん。ステンシル(孔版)とプリンティング(印刷)で遊んでみたという。九十五センチ×八十五センチの作品が六点。染色による抽象表現は珍しい。想像力をかきたて頭のなかのカンバスに絵を描いたということか。
ほとんど構成に意を用いないのかのごとく自由に制作する。燃えたぎり、沸きあがるものを表現する。そのためにエジプト文字を造形化する。葉っぱの葉脈を生かす。鳥を引きこむ。渦を巻く。色彩が踊る。これらを有無をいわさぬ作品に仕上げてしまう力量。これは演技的といっていいかもしれない。
彫金の国歳紘子さん。指輪やリング、ブレスレットなどの銀の装身具二十点を出品した。流行にかかわりない基本的な作品をめざす。だから今回のテーマは「私の定番」。銀は自己主張しないし、何でも受け入れる余裕を持っている。金やプラチナにない特性だ。光沢をおさえたやさしい色合いは、どんなデザインでも引き立てる。まさに〈いぶし銀〉。
こんなアクセサリーを身に付けることで生活に新しい個性が表現できるようになれば、と意欲的だ。じっくり見てほしい。
陶芸の熊沢理さん。直径四十センチの大皿が目を引く。土をつくる力のあるうちに、と大皿に挑んだそうな。土を押し、土をこね、土をもむ。このような力仕事が十分でないと、納得できる作品は望めない。
地元、津ノ井の土に津ノ井の釉(くすり)をかける。つぼや碗(わん)や小皿などいずれも重厚で素朴。津ノ井の大気もかくやと思わせるずっしりとした存在感が楽しめる。
砂丘焼も並ぶ。小ぶりながら砂の質感をみごとに表している。郷土愛が、どの作品にもひびき合い、いい表情をしていると見た。
洋画の原田マスミさん。明るい未来を信じる少女のひとみがみずみずしい。「樹を聴く物語」「空へ」(いずれもF80号)など、純真な少女の振る舞いが大胆な構成のなかにはずんでいる。未来を夢見ながら、だ。
あやとり遊びの絵が二つある。一つはデフォルメされている。絵の多様さを説明するため小学校の出前講座で披露したものとか。子どもたちはほおを紅潮させていたという。
炎展は多彩な物語を秘められている。あなたもこの物語に参加してみませんか。
(文芸誌「断層」同人)
日本海新聞掲載記事(平成17年12月3日)