過去の展覧会



~秋興~ 仁人竹工房 齋江範人・仁美展
2007.10/25(Thu)~10/29(Mon)

仁人竹工房:鳥取市

 

ギャラリーあんどうブログ

「仁人竹工房 1」

 

竹細工に囲まれて至福のひとときを過ごす

 

今時職人さんを友人に持つ人は少ないだろう。しかも竹細工職人となれば皆無に近いだろう。でも、私は竹細工職人夫婦を友人に持っている。齋江範人君と仁美さん夫婦で、二人は竹細工の本場別府での修行仲間だからパートナーであり良きライバルである。

そんな友人夫婦の店が、飲み屋街弥生町のド真ん中の異空間「仁人竹工房」である。

玄関には趣味の山野草が飾ってあるので山野草店と間違えるかもしれない。店の中に入ると多くの竹製品に混じり木彫のお地蔵様たちが出迎えてくれる。まさに異空間である。

聞いてみるとこのお地蔵様たちは齋江君の職人としての師匠小林愚童(ぐどう)さんの作品だそうである。

この師弟関係の二人の出会いがおもろいから語っておかねばならない。齋江君は本来教師になるために立命館大学に入ったのだが、4回生になり卒業論文を書くための調査で訪れた飛騨高山で運命の出会いをした。愚童さんの工房での数日間の経験が、教師から職人道へ人生のターニングポイントとなったのだから、人との出会いおそるべしである。

そんなお地蔵様に歓迎されながら奥の部屋を覗くと、壁じゅうが盛篭だらけで、天井からは大きな竹のタペストリーがぶらさがっていて圧倒される。

畳の間は作業場になっているので誰でも竹細工職人齋江の実演を見ることができる。お客さんと職人が近い関係のお店なのだ。ここでは少人数の竹細工教室も行われている。

最近、つたないながら私も革細工を始めたので、週末は二人でコーヒーを飲みつつ世間話に花を咲かせながら、齋江君は竹細工、私は革細工に挑む。そこに蕎麦打ち職人の友人が加わると工房はもう職人ワールド、齋江ワールドになってしまう。

小林愚童さんの色紙の言葉「あそび心に 好奇心 ものつくる こころです」を実践しているのがまさに「仁人竹工房」なのだ。

私は職人仲間や竹細工の作品たちに囲まれて至福のひとときを工房で過ごさせてもらうことができて、申し訳ないくらいの幸せ者だ。

このたびの「仁人竹工房-秋興-齋江範人・仁美展」は、二人にとって2回目の展示会となるので秀作が期待できそうだ。

私が味わっている至福のひとときの一端を皆様にも味わっていただければ幸いである。

 

森本良和(鳥取県立図書館長)

 

200710月25日 日本海新聞掲載 原文

 


~秋興~ 仁人竹工房 齋江範人・仁美展

 

齋江範人・仁美ご夫妻による竹工芸の展示会。

昭和63年、大分市で工房を独立。ご主人の出身地、鳥取市へ平成8年に転居し、二人三脚で創作を続けている。

丸竹を割り、細いひごを取る。竹の特性を活かしつつ、継ぎ目が目立たないように絡めていく。六つ目、四つ目など、基本的な編み方は限られており、編み幅や竹ひごの合わせ具合によって独創性豊かに仕上がる。地道で根気のいる手仕事が、まるで柔らかな繊維を編んだかのように竹の形を生まれ変わらせる。堅い竹から生まれる滑らかな丸み。繊細な技と大胆なアレンジが美しさの秘密だろう。

花器や盛皿など伝統的な作品のほか、遊び心をきかせたランプやインテリアアクセサリーなどの新作を合わせ、和やかな中にも凛とした風合いを持つ竹の芸術を展開する。

 

「さんいんキラリ」2007年夏号 掲載記事より