自然への思い随所に
竹内 道夫
夫の他界後、「ひたすら久松山と袋川、旧友のいる鳥取が恋しく」なって、大阪府池田市から約五十年ぶりに帰郷された森脇さんが、師でもある坂尾哲夫先生のすすめもあって、初めての個展を開催される。
「連なる青い山々、邑美野を渡る風、袋川の清流によって心を癒された」というだけあって、風景や草花などを描いた三十数点からは、心地よい涼風のささやきが聞こえてきそうである。描くことが日常生活に溶け込み、ことのほか楽しいといった雰囲気も感じられ、ほほえましさに包まれた作品展でもある。
素朴で情趣にとむ「舟どまり」、ほのぼのとした情景をたたえる「故山錦秋」、岩肌の妙を醸し出す「羽尾の海」は思わず目を引くし、「国府川秋景」「賀露港」「水郷の春」「邑美野早春」「待春」なども捨てがたい。
またユリ、ボタン、バラ、ヒマワリ、シクラメン、アザミなどは、四季折々の“小さくて大きな出会い”をいきいきと伝えている。おのおのの宿命を背負いながらも、それぞれに趣をもって息づく草花の生命をいとおしむやさしい思いが垣間みえる。
全体的にやわらかなタッチであるが、こまやかな情感にあふれ、まるで叙情歌を奏でるかのようなすがすがしさがある。随所に配慮がほどこされ、配色の工夫もうかがえひたむきな姿勢に好感がもてる。
今後も絵画をひとつの道標として、いや終生の喜びとして描きつづけてほしいし、新たな世界を見いだした作品に再び出合えることを願ってやまない。
四季の移ろい、折々の表情をとらえた、繊細でさわやかな作品は心をなごませてくれるにちがいないし、一見なにげない風景のなかにほんとうの“美”が潜んでいることを示唆してくれるかもしれない。会場に足を運んで、自然を慈しむ森脇さんのいちずな思いに、ぜひ触れてほしいものである。
(文芸史家)
2007年11月1日(木)日本海新聞記事より
自然への思い随所に
竹内 道夫
夫の他界後、「ひたすら久松山と袋川、旧友のいる鳥取が恋しく」なって、大阪府池田市から約五十年ぶりに帰郷された森脇さんが、師でもある坂尾哲夫先生のすすめもあって、初めての個展を開催される。
「連なる青い山々、邑美野を渡る風、袋川の清流によって心を癒された」というだけあって、風景や草花などを描いた三十数点からは、心地よい涼風のささやきが聞こえてきそうである。描くことが日常生活に溶け込み、ことのほか楽しいといった雰囲気も感じられ、ほほえましさに包まれた作品展でもある。
素朴で情趣にとむ「舟どまり」、ほのぼのとした情景をたたえる「故山錦秋」、岩肌の妙を醸し出す「羽尾の海」は思わず目を引くし、「国府川秋景」「賀露港」「水郷の春」「邑美野早春」「待春」なども捨てがたい。
またユリ、ボタン、バラ、ヒマワリ、シクラメン、アザミなどは、四季折々の“小さくて大きな出会い”をいきいきと伝えている。おのおのの宿命を背負いながらも、それぞれに趣をもって息づく草花の生命をいとおしむやさしい思いが垣間みえる。
全体的にやわらかなタッチであるが、こまやかな情感にあふれ、まるで叙情歌を奏でるかのようなすがすがしさがある。随所に配慮がほどこされ、配色の工夫もうかがえひたむきな姿勢に好感がもてる。
今後も絵画をひとつの道標として、いや終生の喜びとして描きつづけてほしいし、新たな世界を見いだした作品に再び出合えることを願ってやまない。
四季の移ろい、折々の表情をとらえた、繊細でさわやかな作品は心をなごませてくれるにちがいないし、一見なにげない風景のなかにほんとうの“美”が潜んでいることを示唆してくれるかもしれない。会場に足を運んで、自然を慈しむ森脇さんのいちずな思いに、ぜひ触れてほしいものである。
(文芸史家)
2007年11月1日(木)日本海新聞記事より