復古創新の精神
桜の花咲く春まっただ中の頃、はずんだ声の作家から電話がはいる。
「今、夢中になって作っているものたちを、見に来てほしい。」―― と。
毎回、発表の度に違う側面を見せてくれて、楽しみに出かけるのだが、今回は全く予想外で驚いてしまった。と同時に、むしょうに心がはずんだ。ほんの二月前の展覧会においては、静かに佇むモノたちが創作されていた。ところが今回は、陶作品に加え、自然が創り出した作意のない美を見つけ出す、というコンセプトで作品群が並べられている。
用途を終え、風雨にさらされていた鉄板。使用目的の後に残されていた白い石材の小さな固まり。そして、朽ちはてた様な板キレ。本来の役目を終えた銅管。様々な質を持つ素材たちは、何年かかってその状態になったであろうか。それはある意味、自然が時間をかけて作り上げた美である。そんなモノたちに美を見出す者が、ここにまた一人居た、と思うと、おもわず笑がこぼれる。制作された陶作品とそれらは、全く異なるものの筈だが、うまく調和をとり一つの世界を成して居る。それは作家自身の目で選んだものと、創作したものであるから、異質なモノとして写らないのだろう。
鉄板はついたて風に仕上げられ、それを背に「青衣の女」と呼びたい陶人形が静かに座して居る。人が無意識のうちに丸めようとした銅管は、作意のない自然な形を成していて、ある意味、自然が作りあげた無作意な造形美にもつながる。その孤をえがく空間は、何かを包みこむやさしささえ感じられる。そして、そこに花を飾ったら、また違う空気が流れそう、と想いは広がってゆく。
この素材に対する自由さ、それにもまして発想の自由さに心が軽くなる。と同時に、深く考えさせられる部分もある。ただ、楽しい、という感覚は正直なところでもある。どんなモノに対してでも美をみつけ出し、再びの生命をふきこみ、輝きを与えたいと願う作者の物に寄り添う心が感じとれる。一見すると、きれいさはないが、時間を忘れる程眺めていると、哲学的要素、あるいはプリミティブな美しささえ感じる。
本来の仕事である陶作品の頭像がある。まっすぐに前を見すえたもの、目をとじ首を傾けたもの、二体がある。そのどちらもが、何かしら問いかけ、また心の奥底に眠っている感情を呼び起こしてくれる。そんな気がするのは、私だけであろうか。
「只、楽しい。」だけではなく、もっと他に真意とするものを秘めているのかもしれないが、深く考えずにこの新しい風を受けとめよう。そして、ギャラリーあんどうでの展示を楽しみに足を運ぶとしよう。
(花人 野中浩二:米子市在住)
梶村自得 略歴
1955 安来市生まれ
1985より 龍義郡広瀬町富田川にて古陶磁(主に小唐津)の研究のため、流出陶片収集を行う
1996頃より、茶碗の魅力を再認識。主に伊羅保、古唐津茶碗写しの制作に取り組む
2000 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」にて奨励賞受賞(叩紋花入)
2001 米子天満屋にて二人展
2002 松江市ギャラリーさんれいくにて「柿の以箒茶碗展」
2003 米子天満屋にて「侘びの茶陶展」
2004 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」にて入選(人形香合)
米子天満屋にて茶碗、香合展
2005 広島天満屋八丁堀店にて陶板展
2006 第18回土岐市織部の日記念事業「織部の心作陶展」入選(織部唐津茶碗)
一畑百貨店にて陶展
CERAMIC ART MESHIWAN GRAND PRIX EXHIBITION V 入選(黄伊羅保茶碗)
2007 米子天満屋 陶人形展「夢追人の詩」
2008 米子天満屋 陶展「佇むココロ」
鳥取市ギャラリーあんどうにて1999年より毎年個展
他県内外にて個展活動
梶村 自得
〒683-0852
鳥取県米子市河崎958−1
рO859−29−8268
工房/我夢写楽
復古創新の精神
桜の花咲く春まっただ中の頃、はずんだ声の作家から電話がはいる。
「今、夢中になって作っているものたちを、見に来てほしい。」―― と。
毎回、発表の度に違う側面を見せてくれて、楽しみに出かけるのだが、今回は全く予想外で驚いてしまった。と同時に、むしょうに心がはずんだ。ほんの二月前の展覧会においては、静かに佇むモノたちが創作されていた。ところが今回は、陶作品に加え、自然が創り出した作意のない美を見つけ出す、というコンセプトで作品群が並べられている。
用途を終え、風雨にさらされていた鉄板。使用目的の後に残されていた白い石材の小さな固まり。そして、朽ちはてた様な板キレ。本来の役目を終えた銅管。様々な質を持つ素材たちは、何年かかってその状態になったであろうか。それはある意味、自然が時間をかけて作り上げた美である。そんなモノたちに美を見出す者が、ここにまた一人居た、と思うと、おもわず笑がこぼれる。制作された陶作品とそれらは、全く異なるものの筈だが、うまく調和をとり一つの世界を成して居る。それは作家自身の目で選んだものと、創作したものであるから、異質なモノとして写らないのだろう。
鉄板はついたて風に仕上げられ、それを背に「青衣の女」と呼びたい陶人形が静かに座して居る。人が無意識のうちに丸めようとした銅管は、作意のない自然な形を成していて、ある意味、自然が作りあげた無作意な造形美にもつながる。その孤をえがく空間は、何かを包みこむやさしささえ感じられる。そして、そこに花を飾ったら、また違う空気が流れそう、と想いは広がってゆく。
この素材に対する自由さ、それにもまして発想の自由さに心が軽くなる。と同時に、深く考えさせられる部分もある。ただ、楽しい、という感覚は正直なところでもある。どんなモノに対してでも美をみつけ出し、再びの生命をふきこみ、輝きを与えたいと願う作者の物に寄り添う心が感じとれる。一見すると、きれいさはないが、時間を忘れる程眺めていると、哲学的要素、あるいはプリミティブな美しささえ感じる。
本来の仕事である陶作品の頭像がある。まっすぐに前を見すえたもの、目をとじ首を傾けたもの、二体がある。そのどちらもが、何かしら問いかけ、また心の奥底に眠っている感情を呼び起こしてくれる。そんな気がするのは、私だけであろうか。
「只、楽しい。」だけではなく、もっと他に真意とするものを秘めているのかもしれないが、深く考えずにこの新しい風を受けとめよう。そして、ギャラリーあんどうでの展示を楽しみに足を運ぶとしよう。
(花人 野中浩二:米子市在住)
梶村自得 略歴
1955 安来市生まれ
1985より 龍義郡広瀬町富田川にて古陶磁(主に小唐津)の研究のため、流出陶片収集を行う
1996頃より、茶碗の魅力を再認識。主に伊羅保、古唐津茶碗写しの制作に取り組む
2000 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」にて奨励賞受賞(叩紋花入)
2001 米子天満屋にて二人展
2002 松江市ギャラリーさんれいくにて「柿の以箒茶碗展」
2003 米子天満屋にて「侘びの茶陶展」
2004 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」にて入選(人形香合)
米子天満屋にて茶碗、香合展
2005 広島天満屋八丁堀店にて陶板展
2006 第18回土岐市織部の日記念事業「織部の心作陶展」入選(織部唐津茶碗)
一畑百貨店にて陶展
CERAMIC ART MESHIWAN GRAND PRIX EXHIBITION V 入選(黄伊羅保茶碗)
2007 米子天満屋 陶人形展「夢追人の詩」
2008 米子天満屋 陶展「佇むココロ」
鳥取市ギャラリーあんどうにて1999年より毎年個展
他県内外にて個展活動
梶村 自得
〒683-0852
鳥取県米子市河崎958−1
рO859−29−8268
工房/我夢写楽