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過去の展覧会



第62回行動展 会員推挙記念
山根文子作品展
6/14(Sat)〜6/19(Thu)

展示を終えてほっとひと息

竹内功鳥取市長もお祝いに

小品 「紫匂」 340×240

 

意欲的な追求の軌跡

第六十二回「行動展」で、鳥取市の山根文子と南部町の佐藤真菜がそろって行動美術協会会員に推挙された。郷土へのカンフル剤として、心から祝福したい。

 敗戦後、いち早く伊谷賢蔵らが立ち上げ、尾崎悌之助らが活躍した行動美術と郷土との関係は深い。結成のモットーは「徒らなる論議よりもまず行動」を。飢えの時代に文化の狼煙を掲げた志は、抑圧された時代から解放された喜びに満ちていた。

 難関の行動展で近年、山陰勢の活躍は瞠目すべきものがある。会員は審査員・角護をリーダーに、庄司俊英・細川佳成・山岡晴夫らがいるが、今回は佐藤真菜が行動美術賞、山根文子が会友賞を射止めて名を連ねた。山陰はいまや、行動作家が一つのけん引力になっている。とにかく批評性を欠き、真贋あいまいなこの地で、本格派の台頭こそ望ましい。

 会員推挙を記念して、二人はさっそく二会場で作品展を開く。間髪入れずの制作は、まさにフレッシュ会員の「行動」そのもの。新旧の大作各二十数点の出品は、意欲的にテーマを追求した軌跡を示すものである。

 山根文子は入選すでに十九回。県内では少ない抽象作家として、二〇〇〇四年に川上奨励賞を受賞している。寒暖の色彩にくし目、布目、箔を使い、渦巻く動勢は精力的。『桃山』連作では、伝統的な装飾性と現代の不定形を絡ませ、情念と葛藤の焔に点火した。会友賞『Being2』は、課題だった赤白の彩りも精錬され、妖しく清冽な魅力を放つ。

 驚いたのは、ストックされた点数が少ないこと。「受賞作でも、自分が気に入らなければつぶす」という。過去におぼれず、ただ前向き意志の強さは、画面の激しさのみではなかったわけだ。しかし、作品は時間をおいて検証する必要もあるので、大切にされたい。

 佐藤真菜は一九九六年に初入選以来、最も成長著しい作家。昨年の前田寛冶大賞展で、県内初の佳作となった。制作は真摯で謙虚、少女を描く真正にふさわしい。故郷・用瀬の伝統行事『流し雛』を連作。行動美術賞の『想春』でも皮相な美しさを遮断して、幼児期に潜む風土特有の陰影をも忍ばせる。課題だった空気感、時の流れも生まれてきた。作品は自らの記憶と、現在の視点が二重投影される。「少女だからといって単にかわいい容姿は描きたくない」との言葉には、自動心理の不安を反映して怪奇の様相も。表情に頼ることなく、雛壇や鳥など配して、構成と色彩による描写で深淵な心象風景とした。

 二人には、女性作家にありがちなナルシズムは希薄である。幻想はあっても陶酔はない。あくまでも、内面的な心情を形象化する独特なリアリティーと、課題を連作形式で追求する妥協のない作家精神。その自覚に、本質的な意義があると思われる。

(角秋勝治、鳥取市)

 

2008年(平成20年)6月12日 木曜日 日本海新聞 記事より

■山根文子画歴
1994年 第49回行動展奨励賞 会友推挙
2004年 川上奨励賞
2007年 第62回行動展会友賞 会員推挙
現在 行動美術協会会員 鳥取県美術家協会会員   行動美術協会会員

 

展示作品一部

「Being 2」 F 150

 

「Being 1」  F 150

 

「Being」 F 150

「遊」 F 150

「Being」 F 150

「陽炎 1」 F 150

「遊」 F 50

「Being」 F 50

「Being」 S 30

「Being」 S 80

「Being」 S 80

「Being」 S 80