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過去の展覧会

 

 

 

2008 アートヒル展
08/7/25(Fri)〜7/29(Tue)

心に鼓動する風景

 

 さまざまな風景を描きたい。それぞれの思いをこめて風景を表現したい。時には実像としての風景を越え、心のなかに鼓動する風景もとらえてみたい。

 鳥取市内で具象の画家を自認する四人が「2008アートヒル展」をひらく。昨年につづく二回目の発表である。一人が八点を出品、気合の入った展観となった。

 古いガラス浮子(うき)のある風景を追いつづける大塩忠雄さん。今回は荒々しく過激な岸壁と浮子を対比させた。岸壁の迫力のせいか浮子に躍動感をもたらし、ハマヒルガオも加え、幽玄の風趣さえ発した。静かな、しかし深く息づく野心的な風景がここに現出した。

 春支度する白耆富士を清浄に描く「早春の大山」や、黄ばみ赤に染まるブナ林が身ぶるいする「紅葉」など、精密で豊潤な大塩世界は凄(すご)みを増したようだ。

 中本二一さんは水彩に徹している。丁寧に絵の具を塗りかさね、真正の風景を探っている。片手をかざしながら、画家自身が風景と融合しているとも見える。

 日本海に面した町に住む中本さんは、海が得意のようだ。ゆたゆた打ち寄せる波、おっとりと流れる雲。「賀露(1)」(F30)は、停泊中のヨット群が奏でる初夏の歌を絵に定着させた。しっかりした構図に安らぐ思いもする。「街」「砂丘」「静物」など水彩ならではの透き通った色の鮮やかさと艶(つや)がたまらない。

 山本知司さんの海もいい。「漁村」(F20)は濃紺の海と白い建物との組み合わせが鮮烈だ。出航する小さい漁船がさらに印象を強める。祈りにも似た至福の感動が走る。

 山本さん固有の感性が、輪郭のハッキリした風景を実現させたのだろうと思う。まさにこの作品は〈山本さんの網代港〉なのだ。また「久松山の桜」「坂のある村」など微風が画面いっぱい心地よく吹き抜ける感じだ。

 八木俊實さんは水面のゆらめきに魅せられている。風景の実像と水面に映る虚像の関係に刺激されている。「芽吹く頃」(P10)を見るとよくわかる。恐らく八木さん自身がふと目にとめて発見した構図ではなかろうか。水面を染める、花のような樹木の芽が絶妙な早春譜を歌っている。

 緑の色づかいがすばらしい。「新緑池畔」「湖山池初秋」「鳥取港風景」と、八木さんの緑は実にハツラツとしている。暴論だが、緑という色の生命(いのち)が生きている、と。その緑は水に漬けるといっそういきてくる、と。

(文芸誌『断層』同人・須崎俊雄)

 

2008年7月23日(水)日本海新聞掲載記事