過去の展覧会

大塩忠雄 絵画展

2011.5/27(Fri)~5/31(Tue)

 

絵を描きつづけ、40周年を迎えました。

これを記念して絵画展を2会場で開催いたします。

ご来場の上、ご高覧頂きますようご案内申し上げます。

 

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大塩忠雄 絵画展

 

 

■大塩忠雄

詳細

[画歴]

1949年鳥取市に生まれる

新協美術会員

新協美術会絵画部審査員

日本美術家連盟会員

鳥取県美術家協会理事

鳥取県勤労者美術展審査員

鳥取県シニア県展審査員

新協奨励賞受賞

新協選抜展出品4回

県展賞受賞3回

現代パステル協会展出品2回

個展11回

 

画業40周年を記念して開催される大塩忠雄の絵画展。
大塩氏は、新協美術会委員として鳥取市を拠点に活躍中。山陰独特の風景をモチーフに油絵を描き続けている。本展では、近年10年間の新協展出品作の200号3点、S120号2点を中心に油絵を約15点展示。描くことの深さに魅入られて40年。使いこまれた物、風化していく物の美しさに心が動いた時、ふとした風景に眼を引かれ、長い時を重ねてきた物だけが持つ色を描きたいと語る。連作「ガラス浮子のある風景」では、シリーズの変遷に加え心象の変化も見て取られ興味深い。油彩を塗り重ねることで下から湧き出てくる色や質感を追求して描かれる、歴史が持つ色という美しいマチエール。時という奥深さを持った画風に、見る人は心を奪われるだろう。

(さんいんキラリ「おすすめ美術館ガイド」掲載記事より)

 

ガラス浮子のある風景

 画家がガラス浮子(うき)のある風景に引かれて20年以上になる。漁網に取りつける変哲もないガラス製の球体だが、現今の漁業には無縁の漁具だ。画家大塩忠雄はこのガラス浮子をモチーフに、風化してゆく物の美しさを風景の中に探り続けているのだろう。

 画業40年を記念する今回の絵画展では、この「風景」が5点展示される。いずれも画家の心象を伝える確かな存在感を示す大作だ。第52回新協展に発表した最新作「09」(S120号)を見てみよう。

 下方に向けて開いた構図の中で、色も形もあるべき所にぴたりと収まっている。さびたコンクリートは、光をザラメ状にまいている。その上に無造作に置かれたガラス浮子。そして深みのある澄んだ色。古く小さい漁港の片隅で、画家の心はうずうずと波立ったにちがいない。

 しんと静まる「岸壁に建つ投入堂」(200号)。幾層にも重なる過激な岩壁に囲まれながらも端然と立ちあがる投入堂は、長い歴史の荒々しさを告げているようだ。そのくせ、気品と均衡と幽玄とが融和している。だからこの絵を見ていると、私も本当に投入堂のある風景を見ているような気になる。演劇的な作品、と思える瞬間だ。

 大塩さんには、のびやかなタッチで光と色を演じる作品が多い。「舟着場のある風景」(100号)、「朝の港」(120号)、「城原海岸」(50号)などがそうだ。全国発信したくなる風景が少なくなったと嘆くけれども。

 しかし、いつも嘆いてはいられまい。通り過ぎる風景がふと気になることもある。その情動を素早く表現できるのはパステルだ。柔らかで上品な感触がたまらない。水彩で描いたその上にパステルを乗せると、さらに深い色が生まれる。消しゴムで思わぬ効果も出る。視覚を絞って全体を象徴的に表現するのも容易、といいことずくめだ。

 6号を中心にこのような絵がざっと30点。「雪の仁風閣」「早春の裏大山」「陽光」「蔵通り」「城門」と変幻自在だ。新聞でいえばコラムの、その鮮烈な切り口のごときものをパステルが担った。

 こうして40年たったが、二つの画廊で開くこの絵画展は単なる回顧展ではないだろう。さらなる深化と挑戦の好機と捉え、風景の陰影や喜びを発見し、追究してほしい。画家の目は内に向かっても、しっかり見開かれていると思うから。

 大塩忠雄さんは鳥取市在住。新協美術会委員、鳥取県美術家協会理事、グループ「彩」会長、個展は今回で12回目。       (文芸詩「断層」同人・須崎俊雄)(2011年5月26日(木)日本海新聞掲載記事)

 

 

 

 舟着場のある風景 F100     ガラス浮子のある風景02 P200