過去の展覧会

開廊15周年記念
没後30年 船井美周展
2013/10/9(水)~10/15(火)

10:00am~6:00pm ※The final day 5:00pm

 

ギャラリーオープン15周年を記念して、「没後30年 船井美周展」を開催いたします。
2004年、当ギャラリー2Fdue開廊記念展に5点の作品を展示させていただきましたが、このたびはご親族のご好意により、初期作品から晩年に至るまでの主要作品30点余を飾らせていただきます。
写実を踏まえた筆致、明澄な色彩によって描かれた地元の風景、静物、人物像など、魅力ある油彩画の世界をお楽しみください。ご高覧の程、よろしくお願い申し上げます。

 

■ギャラリーあんどう企画

 

ギャラリーあんどうブログ

[2013/10/9]開廊15周年記念 没後30年 船井美周展

[2013/10/14]開廊15周年記念ー没後30年ー船井美周展 2

 

 

■ 船井 美周 略歴

1910 愛知県豊橋市に生まれる
1938 東京美術学校(現東京藝術大学)師範科卒業
    (南薫造・伊原宇三郎に師事)
1938 岐阜県立大垣中学校に赴任
    第2回文展入選
1939 第4回大潮会展入選
1940 旧鳥取県立高等女学校に赴任
1949 鳥取大学学芸学部に着任
1976 鳥取大学教育学部教授退官
    同年以降1981年までに個展5回開催
    (鳥取大学在職中に、鳥取県展等に招待出品)
1983 没
1998 「船井美周(遺作)・武彦父子展」鳥取県立博物館
2004 「船井美周油彩画展」Gallery ANDOH due

 

ギャラリーあんどうオープン15周年の企画展として、没後30年を迎える船井美周(ふないよしかね)氏の油彩画展を開催する。美周氏は抽象画の雄として知られるフナイタケヒコ氏のご尊父にあたる。愛知県出身。現・東京藝術大学を卒業後、昭和15年鳥取県立高等女子高に赴任。同23年から鳥取大学で教授を務める。以降は、文展・大潮会展入選の力量を備えながら、中央への出品を辞して、美術教育者の道を歩んだ。その傍らで昭和58年に没するまで、身近な鳥取の風景や事物をモチーフに描き続け、数多くの秀作を遺している。この度は、主要な作品30点余を厳選。巧みな構図を彩る着彩の鮮やかさが山陰独特の暗さを昇華し、時を経てなおモダンな印象をたたえている。画に注ぐ光の優しさが、おそらくは温かで静かな人柄だったのであろう美周氏の姿を偲ばせる。

(さんいんキラリ夏号 2013 No28 キラリおすすめ美術館ガイド 掲載記事)

 

晩年ほど絵に明るさ  ~没後30年 船井美周展に寄せて

「晩年になるにつれ、作品が明るくなっていく」これが実感だった。今年で没後30年を迎える画家・船井美周(ふない・よしかね 1910年~1983年)。その回顧展が10月9日からギャラリーあんどうで始まる。先日、準備に追われるご子息の画家・船井武彦氏のもとを訪ね、美周の作品を間近で拝見する機会を得た。

私はこれまで、鳥取県立博物館所蔵の60年代の美周作品2点しか実見したことがなかった。今回、武彦氏のもとでは60年代から晩年までの作品十数点を拝見できた。美周が描いたのは鳥取の風景や産物が中心。モチーフ選定は確かに、ボナールらに代表されるいわゆる「アンティミスト」、生活の中にある身近なモチーフを情感を込めて描く画家たちのそれに近い。しかし、美周の描き方、仕上げの感覚は、「愛と情感を込めて」という姿勢とは異なる、筆の勢いの勝った、絵具自体の物質感を前に出していくものと思う。温和な人柄という美周の一般的イメージからは少し外れる。なかでも、力作が多い60年代に特徴的なのは、寒色系の絵具で輪郭線や境界線を強く隈取るスタイル。個々のモチーフは際立つが、画面は暗さを帯びることになる。

愛知に生まれた美周は、東京美術学校師範科を卒業後、岐阜を経て1940年に鳥取に赴任。49年以降は鳥取大学で教鞭をとり、晩年まで鳥取にあった人だ。いわば異邦の画家であり、その画家が「鳥取」で描くとき、やはり「山陰の絵画を」という意識が前に出たのかもしれない。60年代の作品にはそのような見方も可能ではないか。戦前、文展に入選した実力者ながら、鳥取で美術教育に専心した画家の心中を思う。

しかし、退官後の一枚「蟹」(=写真)などは、寒色を使いながらも陰りなどは意識されず、皿や蟹の輝きを増す方向で画調が組織されている。この明るさ。そして筆触。「山陰の私」ではなく、「この私」が描きたいものに素直に向き合おうとする、美周の強さのあらわれと感じた。

三浦努(鳥取県立博物館学芸員)

(2013年(平成25年)10月8日火曜日 日本海新聞掲載記事)