開催中の展覧会

フナイタケヒコ展― Multiple Formation ―
2015/5/29(金)~6/3(水)

AM10:00~PM6:00(最終日PM5:00迄)

 

今回の個展は、100号サイズの新作を中心とする発表。油彩のタッチと木炭や鉛筆のドローイングを組み合わせた作品は、「フナイタケヒコ 絵画の光景」(2013年鳥取県立博物館)で展示された「Multiple Formation」シリーズにつながるもので、独自の試みが注目されます。

 

■フナイタケヒコ 鳥取市在住

 

ギャラリーあんどうブログ

[2015/5/29]フナイタケヒコ展 ― Multiple Formation ―

 

果てしなく拡がる筆触の光景

フナイタケヒコ(鳥取市在住)の作品は、その初期からいくつかのシリーズに分かれ、連作として制作されてきた。シリーズによってがらりと表情を変える作品群は、出会うたびに鑑賞者をドキドキワクワクさせてくれる。今回は最新のシリーズとの出会いとなる。
サブタイトルを「Multiple Formation」(マルチプル・フォーメーション)とする本展は、2013年の企画展「フナイタケヒコ 絵画の光景」(鳥取県立博物館)の最終章のテーマ「筆触と余白」のコーナーに展示された作品の、その後の展開を見せるものだ。
「Multiple」とは「多重の、複合的な」の意。「Formation」には「形成・陣形」といった意味に加えて、構成要素が流動していくイメージがある。画面に増殖する筆触は時に拡散するように、あるいは収束するように置かれ、例えば風に舞った桜の花びらが川面に落ち、花筏となって川面を流れていく、そんな光景を想起させる。
フナイの作品はまるで偶然の産物のように見えて、実際には素材や技法の実験的な試みと、繰り返される試行錯誤から生まれている。本シリーズでの注目すべき試みは、キャンバス上に敢えて「異物を置くこと」だ。かつては〝貼り付けられた木の棒〟が、新作では木炭による〝落書き〟が異物となった。描く行為を触発するのはそこで生じる違和感だろうか。
描いた筆跡がきっかけとなり、次の筆触が形成される。無意味でも意図的に過ぎても納得しない。「筆触と余白」というテーマに出合ってからずっと、フナイはキャンバスの上で数多の葛藤を繰り返している。画面に向かう作家の息づかいと目の前に拡がるさまざまな光景を、「ハーメルンの鼠たちに夢の列」「かぐや姫と巣のなかは」といった謎かけのような題名とともに楽しみたい。         

(佐藤真菜 ・鳥取県立博物館 、行動美術協会会員 )

2015年5月28日木曜日 日本海新聞掲載 寄稿文

 

 ハーメルンの鼠たちに夢の列-4 S30