開催中の展覧会


フナイタケヒコ・船井 淑子

絵画の巣箱

2017/5/24(水)~5/30(火)

AM10:00~PM6:00(最終日PM5:00迄)

 

【1・2F同時開催】

遠くに扇ノ山、近くに稲葉山、風にゆれる新袋川の土手の草むら…。40年間、同じ景色を眺めて暮らしていても似たような絵になりません。だからこその対比の妙もありなんと思っての、老夫婦によるささやかな二人展です。

ご高覧のほどよろしくお願い申し上げます。

 

■フナイタケヒコ・船井 淑子 鳥取市在住

 

 

小鳥をゆらす

  フナイタケヒコ・船井淑子 絵画の巣箱 によせて

漆原正雄

 ひとはみな、かたわらに〝せつなさの小鳥〟を飼っている。飼っているといっても、あなたはまだその小鳥にどうふれていいのかわからない。なぜならその小鳥は鳴くこともなければ羽ばたくこともなく、ただひたすらせつなさを乞うているのだから。だから、あなたはまずその小鳥をやさしくゆらしてあげなければならない。

 ここにひとつの巣箱がある。フナイタケヒコさんと船井淑子さん、ふたりの画家がこしらえた、しろくうつくしい巣箱である。ちょっとなかを覗いてみてほしい。船井淑子さんの花の絵――菜の花やアザミやあじさいなど――はいつも清潔ですこやか。風が、まるで静けさの復習のように流れていて、草花のしぐさはいとおしい。また、フナイタケヒコさんのシリーズ「葉陰の向こうに」には終始、〝青〟の旋律が奏でられている。じっと耳をすましていると、あなたはきっと、あなた自身のせつなさを知るだろう。

 あなた自身のせつなさを知ること。それはせつなさの小鳥にふれる前の――その小鳥をおびえさせないための――ちょっとした心構えのようなものだ。

 ふたりの画家の絵は、鑑賞のためというよりは、「ついばむ」ためのもののようにそこにある。作品をひとつひとつついばんでいくうちに、せつなさの小鳥は目を輝かせながらさえずりや羽ばたき、抱擁の仕方をおぼえていく。すこしずつあなたにとって近しい存在になっていく。(そう……その小鳥にふれるには、あなた自身のせつなさを経由しなければならないのだ。)「小鳥をゆらす」とは、つまりそういうことである。

 ひとはみな、かたわらにせつなさの小鳥を飼っている。あなたはそのせつなさを、せつなさの小鳥を一度、ふたりの画家の巣箱にあずけてみませんか。

(日本現代詩人会会員)

 

(2017年5月21日(日) 日本海新聞掲載寄稿文 原文)