過去の展覧会

馬田太雅 鉛筆空間画展
2009.10/25(Sun)~11/8(Sun)

 

 

 

 

 

■馬田太雅:鳥取市在住

 

視野がふくらむ空間画~馬田太雅鉛筆空間画展に寄せて

 

馬田太雅(まだ たいが)君は米子市出身の23歳、少々不思議な絵を描く青年です。その絵には、まるでピカソとダリとエッシャーが同居したような、そして、普遍性と独自性が織りなす世界、そんな魅力を感じます。自然や動物、日々の暮らし、世界の出来事などを超私的視点でとらえ、鉛筆線を重ねた緻密な空間画で表現します。

彼の描く空間画は例えばハエが空中から、魚が水中から、アリが土中から人間の世界を覗いてみた時の、それぞれの視点越しに見える人間の世界が描かれているようにも思えます。それぞれの生命に視点があるのだと思うと、自己中心的に思考し自分ひとりで生きているという狭い視野を広げ、多くの生命と共に生きている、生かされているという世界観に興味が湧いてきます。

油断をすると大人の視点は片寄ります。自由な発想から疎遠となり、固定観念にとらわれ可能性を縮めます。便利の優先で知恵を見失い、感謝を忘れ不満にとらわれます。二極大深味(にきょくだいなれば、あじふかし)、寒暖の差が大きい程美味しい米が出来るように、人間にも振幅が必要なのでしょう。ひょっとしたら超私的視点なのは私たちの方で、彼の方がバランスのある視点なのかもしれない・・・

馬田太雅君は私たちが日ごろ見慣れない視点の情景を描きますが、その絵はほのぼのとしていて、ユーモアとエスプリに富み、どうやら観る者の心までふくらませてくれ、片寄った視点をニュートラルに戻してくれる振幅を備えているように思います。それぞれの作品の主人公視点になり、それぞれの感性で、出会ったことのない世界を一度味わってみて頂きたいと思うのであります。

相楽喜道(米子市・空間デザイナー)

(日本海新聞 2009年10月24日(土) 掲載記事)

 

●馬田太雅・鉛筆空間画展

期間 10月25日(日)~ 11月8日(日)

馬田太雅(まだたいが/鳥取市在住)の鉛筆による空間画展。大阪の大学で美術を学ぶ。鉛筆や絵具など様々なタイプのイラストを手がける中で、鉛筆によるモノクロ表現へ傾倒。構図のイメージを何度も膨らませB芯のシャープペンシル1本で濃淡を描き切る。緻密に描き込むことで浮かび上がる質感と遠近感。幼い頃から親しんだ鉛筆で描くという原点に戻れたようだと語る。デッサンの記憶に命が吹き込まれ、リアルな奥行きへと見事に生まれ変わっている。若き馬田の初となる個展は、透視図法を追及した球体3連作を含め近年の約15点を展示。ギャラリー2Fでじっくりとその空間を味わってほしい。

(さんいんキラリ 2009No17 秋冬号 掲載記事)